2003年 12月 01日
スモーカーズ・フェイス(その2)
喫煙が美容に関して、非常なマイナス効果を与えることは、エステティシャンなどの間ではほぼ常識となっていますが、一般の人にはまだまだ浸透していないばかりか、特に喫煙者はそのマイナス効果を“過小評価”しているのが実情です。
よく、肌の若々しさを保つには、肌の血行をよくするのが効果的だといわれていて、日頃のマッサージを欠かさない人も多いのではないでしょうか?
残念ながら喫煙すると、身体が慢性的な酸欠状態に陥ります。
酸欠状態は全ての臓器に影響を与え、肌もその魔の手を逃れられません。
この全てが女性の美を奪う、いわば悪魔なのです。
◆毛細血管が収縮する
喫煙すると、毛細血管が収縮し体表の血行が阻害されます。
肌も例外ではなく、血行障害により老化が加速するのです。
◆一酸化炭素が血中の酸素を奪う
喫煙すると肺から高濃度の一酸化炭素が血中に溶け込みます。
一酸化炭素は、酸素の代りに血中のヘモグロビンと強く結合するため、ヘモグロビンは十分な酸素を体中に送れません。
常に身体中が酸欠状態に置かれることになるのです。
もちろん、肌も例外ではありません。
◆タールが毛穴に…
人間の皮膚には毛穴があり、そこには皮脂腺がありますね。
これがあるため、肌は適当なツヤと潤いを保つことができます。
ところがタバコを吸うと、エアロゾル化したタールが顔付近にまとわりつきます。
このタールは粒子状なので、毛穴に溜まった皮脂に取り込まれ、黒ずんだ角栓(かくせん)を形成します。
このタールには数百種類の発癌物質が含まれていることをお忘れなく。
◆シミが増える
血行障害から皮膚のコンディションが悪化し、シミやそばかすが増えます。
タバコを吸うと、大量に取り込まれる活性酸素を中和しようと、抗酸化物質であるビタミンCが大量に消費されます(一本あたり25mgといわれていますね)
一日に20本吸う人なら、25×20=500mgのビタミンCが失われます。
ただでさえ摂取が困難なビタミンCですので、状況は深刻でしょう。
これではサプリメントをボリボリ食べないと、追いつかないでしょうね。
◆タバコを吸って太陽に当たると、皮膚にダメージが…
最近、どこかの化粧品メーカーの調べで、タールに含まれるベンツピレンを皮膚に塗って紫外線に当たると、炎症が出来やすいという調査結果が出されています。
喫煙者の顔には常にタールが付着しているので、これは怖いですよね…。
その他にも書ききれないくらいの、マイナス効果があります。
おおよそ、5~10才くらいは、肌年齢を「先取り」するといわれています。
でも、タバコをやめると、必ず改善が見られるようです。
法令線がほとんどなくなり、肌のくすみもなくなった、なんて意見も、多くの禁煙した女性から聞かれるようですよ。
美容のためにも、禁煙は大きなプラスになります。
(写真は22歳の双子の顔の18年後をシミュレートしたもの、どっちが喫煙者の設定かは容易にわかるだろう)

2003年 11月 30日
Smoker's face(タバコ顔)
実は前にも書いたんだけど、もうちょっと踏み込んだ独り言をつぶやいてみるとしましょう(笑)。
よく、人間の肌は、25歳くらいから「老化」が始まるといわれていますね。
いわゆる「老けてくる」のですが、具体的にはどうなるか、ちょっと挙げてみましょうか?
・目尻のシワが多く、深くなる。
・全体的に皮膚の弾力(張り)が失われる。
・小鼻から口角にかけてあるシワ(法令線~医学的には鼻唇溝という~)が、深く長くなる。
・頬のたるみ。
・目じりのたるみ。
などでしょうか? 特に女性はこんな状態に敏感ですよね。
実は一般にスモーカーズ・フェイス(タバコ顔)と呼ばれている特長は、この「老化」の特徴と多くのところで一致します。
つまり、スモーカーズ・フェイス(タバコ顔)とは、あなたの未来(5年から10年先)の顔の特徴を、現在の顔に組み込んだものです。
その結果、「不自然な老け顔」が出来上がるのですね。
スモーカーズ・フェイスに特徴的なのは、
・目尻のシワ。(若い人ではまだ目立たないが…)
・全体に肌の張りが失われる。
・深く長い法令線。
・目の下のクマ。
・目の下のたるみが幾重にも波打って出る。
・目の下から、頬の上の辺りを通って耳へ向けて、一本の溝が出来る。(これが特徴的)
・肌の色が全体に薄黒くなり、シミも濃く広くなる。
・歯の着色。
・歯茎の黒ずみ。
といったところでしょうか?
タバコを吸っている人は、周りの同年代の非喫煙者と比べてみて下さい。
ええ、一人や二人じゃ不安という人は、何人でも試してみて下さい。
自分の顔に発生している、「明らかな変容」に、もはやタバコの「効果」を認めざるを得なくなるはずです。
タバコはその「有効成分」をフルに使って、これらの発生を加速させます。
いったい何がどのように悪さをするんでしょうか?
「真実の瞬間」は、また次回のお楽しみといたしましょう…。
2003年 10月 15日
喫煙マナーはマルチプル・アウト
その中に、「この詩はもともと『マルチプル・アウト』技法で書かれているため、どのような解釈も可能だ」という人がいます。
ようは解釈する人の都合のよいように、複数の解が得られるってことですね。
最近、喫煙マナーもマルチプル・アウトじゃなかろうかと思ったりします。
例えば、多くの喫煙者がマナー違反と感じる3つを書いてみます。
1.灰皿がないところで喫煙するのはマナー違反
2.人に煙を直接吹きかけるのはマナー違反
3.混みあっている場所での喫煙はマナー違反
確かに一見、間違いではなく、非喫煙者の我々もうなづくような内容です。
これは実は喫煙者にとっては、とても便利な「マナー違反の解釈」なのです。
裏を返して、このマナー違反を解釈してみると、次のようになります。
1.灰皿があるところは喫煙場所と解釈してよい
(だから灰皿があるところでは吸ってよい)
2.煙が直接かからなければ、相手にとって迷惑ではない
(だから、相手に直接かかるような場所でなければ吸ってよい)
3.混みあってない場所の喫煙は、迷惑喫煙といえない
(だから、混みあっていないと自分で感じたら吸ってよい)
どうですか?
喫煙者にとっては、まことにありがたいことでしょ?
しかも多くの喫煙者は、これを状況に応じて組み合わせて解釈していますから、「吸ってよい」場所は飛躍的に広がります。
歩きタバコだって、2.と3.が理由づくので、1.より強くなりOK。
混みあった食堂だって、1.があるからOK。
ね? マルチプル・アウト以外の何者でもないじゃないですか?
2003年 10月 06日
禁煙と肥満
・このスリムな身体を維持するために、タバコをやめる気がない。
こんなこという女性は、けっこう多いんじゃないでしょうか?
どれくらい太るのか
確かにタバコをやめると一時的に太る人がいますが、きちんと食事に気を付けていれば、爆発的な体重増加は抑えることができるのです。
体重増加は、2~3Kgくらい。多い人でも、4~5kgといったところでしょうか。
また、特に体重増加しない人もいますよ。
もちろん、無制限に食べてしまえば、爆発的に増える人もいます。でも、これは喫煙していても禁煙していても同じですよね。
痩身至上主義
若い女性には「痩身至上主義」の人がいます。
それはそれで、健康的に痩せていれば問題はないのですが、タバコに頼るのは問題です。
タバコは心肺機能に多大な負担をかけるために、だんだんと身体が動くことを拒むようになります。
駅の階段などを上がると、息が上がってしまうため、ついエスカレータに頼ることになっていませんか。
タバコはあなたに痩せた身体を提供してくれるかもしれませんが、同時に心肺機能を著しく低下させ、あなたの身体を運動から遠ざけ、痩せにくいものに変えてしまうのですね。
タバコで痩せてもキレイじゃない
タバコを吸うと、あらゆる内臓に負担がかかります。
例えば、心臓。
喫煙者の心臓にかかる負担は、自分の体重+50Kgの人の心臓と同程度の負担がかかっているといわれています。
身体は痩せてるかもしれないけど、心臓は「肥満」にあえいでいます。
例えば、肺。
1日20本を1年間吸い続けると、コップ1杯分のタールを肺に流し込むことになるそうです。
順次代謝されますが、速度が非常にゆっくりのため、一度灰色になった肺は元のピンク色を取り戻すことはほとんどできません。
さらにタバコは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の大きな原因にもなっていますね。
例えば、歯茎。
喫煙者は、周りにいる同年代の非喫煙者と歯茎の色を比べてみて下さい。
明らかに黒いのがわかると思います。
そう、喫煙者はほぼ例外なく歯茎が黒ずみます。
美容上は、決してよくないですよね。
例えば、肌。
タバコを吸うと、煙に含まれる一酸化炭素によって体中が酸欠状態に陥ります。
つまり、喫煙常習者は、慢性的に酸欠状態におかれていることになりますね。
肌も同じ。血行が悪くなって、荒れたり色が悪くなったりします。
加えて、タバコを吸うことによって発生する活性酸素を中和するために、大量のビタミンCが消費されます。
荒れるのは、顔だけじゃないことに注意ね。
最近増えています
最近、男性の喫煙率ははっきり下降傾向にあるのにもかかわらず、20代・30代女性の喫煙率はかなりの勢いで上昇傾向にあります。
それと共に、女性の心疾患の数が急増しているそうです。
以前、疾病による女性の死亡原因のトップはがん(乳がんなど)でしたが、現在は心臓疾患となっています。
こうしてみると、タバコって痩せる「かもしれない」けど、美容には最悪で、死をも引き寄せてしまうものなんですよね。
2003年 09月 28日
ニコチンのソケット(その2)
それについて、少し言い忘れたことがあったので、追加しますね。
人間の脳内で神経ネットワークが作られるとき、その接続部分にアセチルコリン受容体という器官があって、脳は神経情報伝達物質アセチルコリンにより、活動を行うというお話をしましたね。
ニコチンが、アセチルコリンの代わりに大量にかつ強烈にこの受容体を刺激するために、いわゆる中毒症状が引き起こされるわけですが、その受容体の数にも問題があります。
一般に喫煙者のアセチルコリン受容体は、非喫煙者に比べて数が多くなっているのです。
これは、増え続ける神経伝達物質(つまりニコチン)を受け入れて処理しようとする結果、そうなってしまうのですが、この「余分な」受容体はタバコをやめたとしても、生涯に渡り削減されることがありません。
禁煙生活を続けていくと、この余分な受容体はいわば「眠り」につくのですね。
そして、仮に喫煙を再開してしまうと、大量のニコチンを処理するために、眠りについていた受容体が覚醒し、短時間の内に「普通の喫煙者」に戻ってしまうのです。
最もタバコを遠ざけなければならない人は、タバコをやめた人。
ニコチン大魔王は、心の隙間をたくみに突いてきます。
くれぐれもご用心のほどを。
2003年 09月 25日
幼児虐待
自分からそんな場所に行くんだから、ある程度の煙害は覚悟の上。
入る時間も工夫します。
その店は、早い時間がわりと空いてるので、開店後すぐ位に入店しました。
実際入ったのは、開店後15分くらい。
誰もいない状況を期待したのに、もう来てタバコ吸ってる「おやぢ」がいやがるっ。
そいつは、すんごいチェーンスモーカーで、3分ごとにタバコに火を点けるんだよね。
ええかげんにせぇよ!と思いつつ、俺がカラオケを歌い始めたら、(どうやらうるさいのがイヤらしく)早く退散してくれてありがたかった。
次に来たのはノンスモーカーのおっちゃん。
これは別にOK。
そうこうしている内に、問題の3人連れがやってきた。
水商売上がりの30代の女性が2人に、なんと子連れ!
2歳の女の子(どっちかの娘らしいが)を、こんな場所に連れてくる親も親だ。
しかも、2人の女性に挟まれるように座ったその子のそばで、この2人の女はタバコを吸い始めやがった。
いったいどういう神経してんのか、まったく不明。
片方の女性(その子の親ではないほう)は、俺の知ってるヤツだったから、一言注意をしてやった。
「だめだよ。子供のそばでタバコ吸っちゃ!」
ってね。
そしたら、その女曰く、
「あ、この子はいいのよ。」
(゜Д゜)はぁ? 何がいいの?
ま、店の煙濃度も俺のガマンの限界を超えてきたから、すぐ店を出たんですがね。
今日も、こういうテーノーの大人たちによって、いたいけな命が傷つけられているんだな。
居酒屋やスナックに小さな子供を連れて行きたがるバカ親は、ハッキリいって幼児虐待だよ。
彼らの肺と歯茎は、確実に灰色になっていく。(嗚呼)
2003年 09月 23日
これから禁煙を開始する人へ
でも、ちょっと待って。
成功しやすい禁煙を目指すなら、きちんと計画を立てましょう。
何しろ、何年も(時には何十年も)生活を共にしてきたタバコと縁を切るのですから、それ相応の禁煙スケジュールを立てないと、タバコという悪魔はそうそうあなたを解放してくれはしません。
禁煙へのスケジュール立ては、一般に次のようにすると良いでしょう。
1.禁煙を開始する日を決めよう
禁煙は始めてから2~3日後がいちばん辛いといわれていますので、その時期に仕事等のストレスがかからない日を開始日に選びます。
週休2日制の人なら、週末の金曜日の夜から開始というパターンが理想的です。
あと、女性ですと生理の前後にはタバコが強く吸いたくなる人がありますので、そのときをうまく外すようにするとよいでしょう。
なお、1週間ほどの準備期間があったほうがいいので、「明日から開始」というのもお勧めできません。
2.タバコ、禁断症状、禁煙テクニックなどを勉強しよう
今は、インターネットなどで、タバコや禁断症状について詳しく説明しているサイトがありますし、禁煙補助剤についても、製薬会社のオフィシャルなページもあります。
知識武装はなるべくあったほうがいいので、禁煙開始日までにしっかり勉強しておきましょう。
特に高橋裕子先生は、禁煙指導界のビッグネームなので信頼できます。
3.禁煙方法にこだわらないようにしよう
結局、タバコがやめられればいいので、何も使わない禁煙にブランドイメージを持たないほうがいいです。無理して何も使わない禁煙を続けてみても、ガマン大会になってしまって長丁場を乗り切るのが非常に困難になります。
もし、何も使わない禁煙が自分にとってそれほど無理がないものであれば、そのまま続けてもいいです。最初は何も使わずに禁煙してみて、危なくなったらニコチンガムなどを使い始めてみるのでもかまいません。
もちろん、最初から禁煙補助剤をしっかり使って禁煙する方法もいいのです。
禁煙による禁断症状の軽重は、人によってかなりの差があり、出てくる症状も個人差がありますので、自分にあった禁煙方法を見つけていくことが大切なのですね。
4.禁煙前夜
禁煙開始する日までに、ニコレットは買っておいてください。
使っても使わなくてもいいから、手元に持っていることが大事です。
最初から禁煙補助剤を使って禁煙するスケジュールを立てた人は、スターターキットを、使うか使わないか分からない人は、最小のパッケージを買うと良いでしょう。
また、禁煙開始する日までに、段階的にタバコを減らしたほうがいいという人もいますが、私は特にその必要はないと思っています。
どうせその日が来たらスパッとやめてしまうのですから、未練を持たないように目一杯吸ってしまうのも方法論としてはありだと思います。
5.禁煙が始まりました
禁煙開始して、最初の3時間あたりがひとつの山場です。
何も使わない禁煙だと、このあたりからくじけそうな喫煙欲求が始まります。
ただ、本当に吸いたいと思う時間はほんの2~3分。
この時間をいかに乗り切るかが成功へのカギですが、あまりに辛いようならぜひ禁煙補助剤を使うことをお勧めします。
これから数ヶ月、波のように襲ってくる禁断症状との闘いになります。
長丁場ですが、くじけないようにしましょう。
タバコは必ずやめられます。がんばって下さいね。
2003年 09月 22日
喫煙者の喫煙マナーに物申す!
一般に、喫煙者と嫌煙者がうまくやっていくためには、喫煙マナーを守ることが重要だといわれています。でも、この喫煙マナーというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?
呪文のように唱えられる喫煙マナーについて、もう一度考えて見ましょう。
まず、何のため、誰のために喫煙マナーを守る(発動する)のかということです。
食事のマナーでも、それを守るのは「周りにいる人を不快にさせない」ということが大きな理由です。
マナーとは、それを受け止める側を「不快にさせない」ということで、初めて「マナーを守っている」と理解されるのですね。
よく、喫煙するときに「吸っていいですか?」と聞くのがマナーだといわれます。
これ、本当にマナーでしょうか? 私は違うと思いますね。
私はこう聞かれたら、「すみません、煙が苦手なのでやめていただけませんか。」と答えるでしょう。
「わかりました。」と言ってくれる喫煙者もいますが、イヤな顔をする喫煙者もいますし、中にはそのままタバコを吸い始める「日本語が理解できない喫煙者」もいます。
だいたい、タバコとライターを出しといて「吸っていいですか?」はないでしょ?
喫煙マナーは、実はたった2つしかありません。たった2つです。
これを守れば、ほとんどの場面での喫煙マナーは大丈夫でしょう。
(一部例外はある(※1))
まず、一つ目。
タバコは、あなたのタバコの煙を吸い込むことに「完全に同意した」ことが明示的に確認できている人の前意外では火を点けない。
そして、2つ目。
喫煙によって発生するゴミは、当事者の手によって始末されること。
この2つです。
どうですか? 歩きタバコがダメだとか、混みあったカウンターでタバコを吸っちゃダメだとか、小難しいことはいらないんですよ。
このマナーを守ると、あなたは「見えない喫煙者」なることができるでしょう。
本当にマナーを守る喫煙者は、「…だから吸っていいんだ」という愚かしい「言い訳」を口にすることはありません。
・屋外だから煙が飛散するから吸っていいんだ。
・自分は上の人間で特権があるから吸っていいんだ。
・食後に吸うのは喫煙者の自然の摂理だから吸っていいんだ。
・お酒とタバコはセットだから吸っていいんだ。
・自分の仕事を全うするためにタバコが必要だから吸っていいんだ。
・ガマンできないから吸っていいんだ。(笑)
「そんなことをいってたら、吸う場所がなくなるじゃないか!」
とお思いの喫煙者もいるでしょう。
いえいえ、あなたが今まで喫煙していた場所は、もともと吸うべき場所ではなかったというだけのこと。
「…だから吸っていいんだ」という愚かしい言い訳によって個人的に解釈した「吸っていい場所」に過ぎなかったんですよ。
本当に吸っていい場所は、本来少ないものだったのです。
人前での喫煙マナーで、いちばん簡単で最も喜ばれるのは何だと思います?
もちろん、喫煙者なら誰でもできます。
それは「吸わないこと」です。
(※1)
あなたの髪や服に染み付いたタバコ臭にも反応してしまう人がいるからです。
この場合は、自分の部屋でのみ喫煙し、外出時は服を着替えるとか、シャワーを浴びるなどの配慮が必要となるでしょう。
2003年 09月 20日
ニコチンに対するソケット
広い意味ではこの解釈は正しいけれども、もう少し踏み込んで説明しますね。
人間の脳細胞は、神経によってつながっており、ネットワークを構築しています。
いわゆる「有線」でつながっていると思われていますが、完全な有線ではないのです。
実は、脳細胞どうしがつながるまさに「つなぎ目」には少し隙間があって、その間を信号伝達物質アセチルコリンが飛んで信号が伝達されています。
ちなみに、神経のつなぎ目は「アセチルコリン受容体(アセチルコリン・レセプター)」と呼ばれています。
脳はこの物質を使って活動しているのですね。
タバコを吸うと、血中からニコチンが脳内に入っていきます。
ニコチンはアセチルコリンとよく似た分子構造を持っているので、アセチルコリン受容体はニコチンをアセチルコリンと間違えて受け入れてしまうのです。
ニコチンはアセチルコリンよりも強い刺激を与えることが可能なので、脳は一時的に「フル・スロットル(アクセル全開)」状態になるのですね。
脳はこの状態を「気持ちいい」状態として、終生記憶します。
タバコを吸うといい気持ちになったり、良い考えが浮かぶようになるのは、これが原因です。
しかし、タバコのニコチンは大量にかつ急激にアセチルコリン受容体に襲いかかるため、本来アセチルコリンの刺激だけで活性化できる受容体は感度が鈍くなってしまい、ニコチンによる刺激でしか活性化しなくなってしまいます。
これが、「脳がタバコを要求し続ける」メカニズムですね。
私が比喩的に言っている「ニコチンにはまるソケット」は、具体的にはアセチルコリン受容体であり、人間なら誰でも持っている器官です。
ただ、一度ニコチンに襲撃された受容体(脳)は、その多幸感を忘れません。
禁煙するとニコチンが途切れるため、アセチルコリン受容体は神経伝達物質を失ってしまうのです。
この受容体が本来のアセチルコリンに反応するように回復するまで、少なくとも1週間以上はかかるといわれていて、その間は眠気やけだるさなどの禁断症状がその人を襲うのです。
禁煙状態とは、「ニコチンの強烈な刺激を記憶した受容体に、本来の仕事をさせている」ともいえるでしょう。
よって、何十年禁煙していても、ものの数本吸うだけで、アセチルコリン受容体はニコチンの快楽を思い出してしまうのです。
2003年 09月 20日
タバコは計算し尽くされている
実は、人間をいかにニコチン中毒にさせるかを、計算し尽くした商品であることをご存知でしょうか。
┏┓
┗◆さわやかなイメージ
ブルーと白、グリーンと白、など、タバコのパッケージはいかにもさわやかでクリーンなイメージがありますね。
これ、若い人(はっきり言うと10代ね)や女性が持っていても、違和感のないデザインになっているんですよ。遠くから見ればタバコとすら分からないようなデザインにね。
確かに、10代の若者や若いOLが「ショートピース」や「峰」を持っていたんじゃ、全然サマになりませんよね。これらはいかにもタバコというデザインですから(笑)
いつでもそばに置いて違和感のないデザインにすることにより、いつでも吸えるようにしているのです。いつでも吸えるってことは、女性や若者がタバコを吸う機会を世間に見慣れさせるということですね。
つまり、女性や若者が喫煙する姿に対する違和感や罪悪感を低減し、更なる販売量の増大を狙っているのです。
┏┓
┗◆活性炭入りフィルター
活性炭入りのフィルターが流行ですね。
活性炭は有害物質を吸着する力が強いので、タバコのフィルターに使えば、有害物質をほとんど取り除いてくれるような錯覚に陥ります。
中には、「ニコチンまで吸着されるとタバコの味がなくなる」と変な心配をされる方もいらっしゃるでしょうが、ご心配なく。
タバコの有害物質は、あれくらいの活性炭を一瞬通ったくらいでは、ビクともしませんから。
むしろ、味をまろやかにして、大量に煙を吸い込めるように工夫されているのです。
┏┓
┗◆メンソールタバコ
ほとんどのメンソールタバコは、フィルター部分にメンソール液が浸漬してあって、そこを通ったときにメンソール臭が付加されるようになっています。
これはタバコ会社が作り出した、ニコチン中毒加速装置とも言える発明なんですよ。
ニコチン中毒を加速するには、いかにニコチン含有量の高い煙を吸わせるかより、いかに煙を深く、多く吸わせるかが勝負どころだといわれています。
メンソールタバコを吸った経験がある人なら分かると思いますが、煙を吸い込んだときのあの爽快感。
いつにもまして、深く吸ってしまいますよね。さらにその爽快感を感じたいために、何度も吸ってしまうこともあります。
いかに深く、多く吸わせるかの理論から生まれた、タバコの「優等生」です。
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┗◆ライトタイプのタバコ
ニコチン含有量の極小(表示上)なタバコが主流のようです。
このタイプのタバコに共通しているのは、低刺激と少ない煙ですね。
タバコ会社は「時代がこの味を求めている」などと、悪乗りもはなはだしい言い方をしていますが、もちろん違います。
この味は、喫煙者が求めているものではなく、タバコ会社が求めているものなのです。
何しろ低刺激なので、初めてタバコを吸う人でも「タバコはまずい」と思いにくいのです。
これで、タバコの入門を楽にサポートします。
そして低刺激のため、「身体にそれほど悪くない」と思い込めてしまうのがすごいところ。
中級者は、こうしてニコチン中毒上級者に「ばく進」するのです。
そして、ライトタイプのタバコは、多く、深く吸うことにより、結果としてメンソールタバコの項で書いたことと同様の効果を生んでいるのです。
最近はメンソール+ライトタバコが主流ですね。
これこそ、最強(最凶)の兵器といえるでしょう。
┏┓
┗◆主流は20本入り
ニコチン中毒者は、血中ニコチン濃度が約半分になるとニコチンを補給(つまりタバコを吸う)したがるようになります。
ニコチンは身体にとってはまったくの毒物ですので、吸った直後から肝臓がフル回転して解毒しにかかります。
その時間は個人差がありますが、約45~50分。
人間が起きて活動している時間を16時間くらいとすると、起きている時間を全て満足させる本数は20本くらいになるでしょ?
別にパッケージングしやすいからとか、そんな理由で20本に決められているんじゃないんです。
20本っていうのは、ちゃんと生理学的に計算された本数なんですよね。
怖いね、タバコって。
┏┓
┗◆フィルターに穴が開いているわけ
多くのタバコのフィルターには、たくさんの穴が開いています。
これもちゃんと理由があるんですよ。
まずは、味の調整。
タバコの煙は温度が上がると苦味が増すので、フィルター部分で空気とブレンドすることにより、温度を下げて味をまろやかにします。
そして、ホントの役目はこれ。
穴をふさいでタバコを吸うとちょっと抵抗感があり、たくさん吸い込めないでしょ?
穴をあけると、抵抗が減ってより軽く吸い込めるようになります。
え? タバコの煙が薄まるんじゃないかって?
それが目的。
たくさん、早く灰にすることができるのと、深く吸い込むことができるので更なる中毒の加速が期待できますよね。
二重三重にも計算されているんですよ、タバコって。