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虹色のかざぐるま windmuehle.exblog.jp

思いつくことを思いついたときに。心のかざぐるまをまわそう。


by ex_kazaguruma
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フォイヤー!フライ!

 戦車が敵戦車を攻撃(つまり発砲)するには、ある決まった手順がありました。
 仮にドイツ軍の戦車長が敵戦車を見つけると、戦車内ではこんなふうに攻撃準備が開始されます。

 まず戦車長は相手戦車の見かけの大きさから、おおよその距離を目測で瞬時に判断し、クルーに伝えます。
 例えば、「11時にT34、距離800!」とかいうふうですね。
 すると、装填手は「T34」(旧ソ連の戦車ですね)と聞いたので、当然対戦車用の砲弾をチョイスして砲に込めねばなりません。
 同時に砲手は砲塔を11時の方向に回し、照準器を覗きます。
 照準器には距離の見当を付ける目盛りが刻んであるので、それを目安に相手との距離を再計算し、照準を修正します。
 その間に砲弾の装填は完了し、装填手は「装填ヨシ!」と砲手に伝えます。
 その直後、戦車長は砲手に対して「フォイヤー!フライ!(撃て!)」と伝えます。
 これで、砲撃戦開始です。
 砲手は発射ボタンに指をかけ(戦車によってはペダルのもあった)、クルー全員に「アハトゥンク!(注意せよ!)」と呼びかけ、発射します。(不意に発射すると、衝撃でクルーが舌を噛んでしまう場合などがあるため)

 砲手のレベルにもよりましたが、1,000mの距離なら着弾点を修正しつつ、2~3発で命中したようです。
 戦場によっても異なりますが、当時はよっぽど彼我の性能差がない限り、1,500mを越えて撃ち合うことはまれだったようです。(強力な主砲を持っている戦車は、2,000m程度から撃ち合ったようですが)

 前に紹介したホルニッセ(ナースホルン)や、ヤークトティーガーの主砲は強力無比で、腕の立つ砲手が操作した場合、連合軍(米英)の戦車なら、2,000m超の距離から破壊することができたそうです。
 中には、前から当たった砲弾が、後ろ側に貫通した例や、2両並んでいるところに側面から命中した砲弾が、2両もろとも串刺しにした例などもあったようです。
 それにしても、やられたほうも、2kmも先から狙撃されるとは考えもしなかったでしょうね。
by ex_kazaguruma | 2003-10-08 10:00 | ミリタリー | Comments(0)