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虹色のかざぐるま windmuehle.exblog.jp

思いつくことを思いついたときに。心のかざぐるまをまわそう。


by ex_kazaguruma
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ニコチンに対するソケット

 私は以前より、「ニコチンに対するソケット」という呼び方をしていますので、あたかも「新しくソケットという“器官”が作られる」というふうに解釈されている方もあるかと思います。
 広い意味ではこの解釈は正しいけれども、もう少し踏み込んで説明しますね。

 人間の脳細胞は、神経によってつながっており、ネットワークを構築しています。
 いわゆる「有線」でつながっていると思われていますが、完全な有線ではないのです。
 実は、脳細胞どうしがつながるまさに「つなぎ目」には少し隙間があって、その間を信号伝達物質アセチルコリンが飛んで信号が伝達されています。
 ちなみに、神経のつなぎ目は「アセチルコリン受容体(アセチルコリン・レセプター)」と呼ばれています。
 脳はこの物質を使って活動しているのですね。

 タバコを吸うと、血中からニコチンが脳内に入っていきます。
 ニコチンはアセチルコリンとよく似た分子構造を持っているので、アセチルコリン受容体はニコチンをアセチルコリンと間違えて受け入れてしまうのです。
 ニコチンはアセチルコリンよりも強い刺激を与えることが可能なので、脳は一時的に「フル・スロットル(アクセル全開)」状態になるのですね。
 脳はこの状態を「気持ちいい」状態として、終生記憶します。
 タバコを吸うといい気持ちになったり、良い考えが浮かぶようになるのは、これが原因です。

 しかし、タバコのニコチンは大量にかつ急激にアセチルコリン受容体に襲いかかるため、本来アセチルコリンの刺激だけで活性化できる受容体は感度が鈍くなってしまい、ニコチンによる刺激でしか活性化しなくなってしまいます。
 これが、「脳がタバコを要求し続ける」メカニズムですね。
 私が比喩的に言っている「ニコチンにはまるソケット」は、具体的にはアセチルコリン受容体であり、人間なら誰でも持っている器官です。
 ただ、一度ニコチンに襲撃された受容体(脳)は、その多幸感を忘れません。
 禁煙するとニコチンが途切れるため、アセチルコリン受容体は神経伝達物質を失ってしまうのです。
 この受容体が本来のアセチルコリンに反応するように回復するまで、少なくとも1週間以上はかかるといわれていて、その間は眠気やけだるさなどの禁断症状がその人を襲うのです。

 禁煙状態とは、「ニコチンの強烈な刺激を記憶した受容体に、本来の仕事をさせている」ともいえるでしょう。
 よって、何十年禁煙していても、ものの数本吸うだけで、アセチルコリン受容体はニコチンの快楽を思い出してしまうのです。
by ex_kazaguruma | 2003-09-20 10:00 | タバコ関連 | Comments(0)