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虹色のかざぐるま windmuehle.exblog.jp

思いつくことを思いついたときに。心のかざぐるまをまわそう。


by ex_kazaguruma
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ミニッツ・リピーター

 ミニッツ・リピーターとは、日本語で「引き打ち機構」と訳される。
 つまり、暗がりでも時刻がわかるように、音で時刻を教えてくれるものなのである。
 ミニッツ・リピーターの歴史は古く、既に18世紀の懐中時計には組み込まれているものが存在した。

 では、どうやって時刻を知らせてくれるのだろうか?
 これには、なかなか興味深い機構が組み込まれているのである。
 現代の一般的なミニッツ・リピーターには、音の違う2つの鐘(ゴング)が内蔵されている。
 仮にこの2つを、AとBと名づけよう。
 時計を操作する人が、「今何時かな?」と思って、時計のボディーにあるボタンを押すと、この2つのゴングが組み合わさって鳴り、時刻を知らせてくれるのである。
 例えば、現在1:18だとしよう。
 ここでボタンを押すと、A,B2つの鐘は、次のように鳴るのだ。
 (A,A+B,B,B,B)
 つまり、Aのゴングは「時」を、A+Bが同時に鳴ると「15分」を、Bのゴングは、端数の「分」を表現する。
 例えば、8:52だとすると、
 (A,A,A,A,A,A,A,A,A+B,A+B,A+B,B,B,B,B,B,B,B)
 と鳴る。

 もともと、毎正時に鳴る時報の機能が発展して、懐中時計に組み込まれたものだが、もちろん、腕時計にもある。
 ただこの機能は、一般に大きい時計のほうがいい音が鳴る(共鳴するのが時計のケースのため)ので、腕時計の場合はちょっと分が悪いのである。
 そのため腕時計の場合は、ケースを大振りなものにすることと、その素材でカバーする場合が多い。
 どうやら、ミニッツ・リピータを搭載した腕時計にプラチナ・ケースやイエロー・ゴールド・ケースが多いのは、そのあたりに理由があるようだ。

 ミニッツ・リピータを搭載した腕時計は、その機構の複雑さもさることながら、ケースの素材でもさらなる高値を呼ぶ結果になる。(¥10,000,000以上は普通であるようだ)
 さらにオーデマ・ピゲなどには、2打音だけでなく何と3打音のウルトラ・メカを持つミニッツ・リピーターまであるのだ。

 あなたが時計のフェアなどで、もしミニッツ・リピータを見る機会があったとき、可能であればぜひ係の人に音を鳴らしてもらってほしい。
 ほんの数十秒だが、あなたの耳は、その高貴な音色に引き込まれることだろう。
by ex_kazaguruma | 2003-10-14 10:00 | 時計 | Comments(0)