虹色のかざぐるま


ケッテンクラート

 軍用車両マニアの間では、戦闘車両でも大型車両でもないのに、高い人気を誇っている車両があります。
 その名を「ケッテンクラート」といいます。
 実はこの車両、何台か日本にも輸入されているようです。
 もちろんナンバーを取得することもできます。
 60年も前に作られた軍用車両で、個人輸入ができるなんて、いったいどんなのでしょうね。

 ケッテンクラートの外観は、一種異様です。
 オートバイの前輪と、装軌(キャタピラ)式の後輪。
 ケッテンクラートは、当初空挺部隊で使用する兵員輸送・牽引目的の車両だったようです。(軽量なので航空機で運ぶことができたのでしょう)
 でもこれ、いったいどういう仕組みで動くんでしょうか?

 ケッテンクラートは1500ccのエンジンを持ち、出力は36馬力。牽引力は450Kgだったそうです。運転手はオートバイ感覚で操作するだけで、この車両を最高速度70Km程度で走らせることができます。
 また、この車両の操舵装置はとても複雑でした。
 一般に装軌車両は、左右の履帯(キャタピラ)の回転速度を変えることによって行います。この車両も例外ではありません。
 オートバイ型の前輪を動かすと、それに連動した変速装置に操舵量が伝えられ、左右の履帯の速度(つまり変速ギア)を変えるのです。つまり、操舵量が小さい場合は左右の履帯の速度差は小さく、操舵量が大きい場合は速度差が大きくなる仕組みです。
 高速走行中は、通常のバイクのように、ハンドルの操舵だけで曲がれたのでしょう。
 極端に言えば、前輪はオートバイ型でなくてもよかったんですが、当時ドイツにはオートバイに乗れる技術をもった兵士がたくさんいたそうなので、あえてそんな形にしたのかもしれません。

 戦時中は敵国どうしの車両(特にトラックなどの輸送車両)でも、優秀なものはすぐコピーが出回るんですが、この車両だけは類似のコピー品が作られませんでした。
 それほどに複雑な機構を持つことと、仮に作ったとしても優秀な整備工兵部隊がないと、維持・運用できなかったのでしょう。
 本来、空挺部隊用に開発されたケッテンクラートでしたが、ぬかるみの多い東部戦線ではオートバイに代わって重宝されたといいます。
 この車両、戦後もフランスなどでは、農耕作業用として広く使われていたようです。
 スノーモービルなどは、こんな車両を起源に持つのかもしれませんね。
 なお、この車両の動いている様子は、映画「プライベート・ライアン」で見ることができます。
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by ex_kazaguruma | 2003-10-05 10:00 | ミリタリー | Comments(0)

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